研究課題/領域番号 |
21592168
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
楠 威志 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30248025)
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研究分担者 |
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
古川 正幸 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20359524)
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キーワード | 中耳真珠腫 / 骨破壊 / カテプシン / メタロプロテアーゼ / SOD / RANKL / IL-17 |
研究概要 |
1) これまでの研究で分かったこと。 中耳真珠腫の骨破壊の作用機序として、カテプシン、メタロプロテアーゼなどの各種プロテアーゼが働いていることはすでに報告した。また、以下のことを前回報告した。これらプロテアーゼは、フリーラジカルにより分泌が促進される。そのフリーラジカルを捕獲するsuperoxide dismutase(SOD)が、カテプシンLの活性を抑制している可能性があること。さらにカテプシンの特異的インヒビターであるシスタチンAもSODと同様に、真珠腫下肉芽より真珠腫上皮に発現が強かったこと。逆に、カテプシンL活性は、真珠腫上皮より真珠腫下肉芽の方は有意に高値であったことより、中耳真珠腫の骨破壊の場は、SOD,シスタチンなど抑制因子の発現が強い真珠腫上皮よりむしろ上皮下肉芽であることが示唆された。 2) 今回の研究でわかったこと。 破骨細胞は、カテプシンLを分泌し、骨破壊に関わっていることはすでに報告されている。最近、破骨細胞の産生促進因子であるreceptor activator of NF-κB ligand(RANKL)と、このRANKLを誘導するサイトカインとしてIL-17が注目されている。この両者について免疫染色を用い検討した。RANKL、IL-17ともに真珠腫上皮より真珠腫下肉芽に発現を認めた。RANKL陽性細胞数とIL-17陽性細胞数と相関関係があった。さらにIL-17陽性細胞数と骨破壊進展していた。今回の研究においても中耳真珠腫の骨破壊の場は、中耳真珠腫上皮よりむしろ、RANKL、IL-17の発現の強い上皮下肉芽であることが示唆された。 3) 今回の研究と臨床的意義 最近、今回、検討したRANKLをSODが抑制することが報告されている。臨床の場において高齢や全身状態が悪く手術不可能な患者に対してプロテアーゼおよび破骨細胞の抑制因子であるSODの局所投与により真珠腫進展を抑えることが期待できる保存的療法の手がかりになるものと考えている。さらには、これを組み合わせることにより、外来で可能な小手術範囲で安全な術式の発案など、臨床面において画期的な展開が期待できる。
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