研究課題/領域番号 |
21592172
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究 |
研究代表者 |
松永 達雄 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究, 聴覚障害研究室, 室長 (90245580)
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研究分担者 |
務台 英樹 独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター, 聴覚障害研究室, 研究員 (60415891)
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キーワード | 蝸牛神経 / 感音難聴 / 遺伝性難聴 / 非症候群性難聴 / 先天性難聴 / OTOF遺伝子 / Pejvakin遺伝子 / Auditory Neuropathy |
研究概要 |
Auditory neuropathyは他の感音難聴と比べて著しく言語聴取力が低いため補聴器の効果が乏しく、コミュニケーションが著しく困難となる特徴がある。このため、早期診断と病態に応じた適切な対応の選択が必要とされている。近年、本症には様々な原因と病態が存在することが解明され、遺伝的要因の関与も大きいことが海外の研究で明らかとなってきた。今回我々は難聴遺伝子解析研究に対するインフォームドコンセントを得てDNA採取された日本人のAuditory neuropathy患者12人で遺伝子解析を行った。全例先天性難聴が疑われる小児難聴例であった。まず先天性難聴の原因として頻度の高いGJB2遺伝子とA1555GおよびA3243GミトコンドリアDNA変異を解析して、病的変異を認めなかった。次いで、OTOF遺伝子を解析した。解析には直接シークエンス法で全エクソンと各エクソンの前後10塩基(スプライス部位)の塩基配列を決定し、SeqScapeソフトウエアで変異を検討した。OTOF遺伝子には大別して4種類のisoformがあるがそのすべてを解析した。12家系中の7家系で本遺伝子に病的変異を認めた。変異の種類は8種類であった。その中の一つの変異が半数以上のアレルで同定され、頻度が極めて高かった。これまで日本人では、Auditory neuropathyの診断自体が極めて少なく、遺伝背景については全く未知であったが、本研究により日本人のAuditory neuropathyの遺伝的要因が大きく解明された。この研究成果は今後Auditory neuropathyの遺伝子診断、病態に応じた聴覚リハビリテーション法の選択と遺伝カウンセリングに直接つながる重要な意義がある。
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