近年ヒストン蛋白が修飾を受けクロマチンが構造変化することでDNAからの転写が調節されていることが判明してきた。アレルギー性疾患においてもナイーブT細胞からTh2型細胞への分化の本質がクロマチンの構造変化に起因することが示され、発症や炎症の維持に重要な役割を果たす。今回の研究ではヒストン脱アセチル化作用を持つSIRT1蛋白に注目し、肥満細胞のIL-4産生におけるこの蛋白の関与を検討した。 実験にはヒト肥満細胞株(HMC-1)を用いた。HMC-1にSIRT1の活性化剤(resveratrol)と阻害剤(splitomysin)を加えカルシウムイオノファー(A23187)とPMAにて刺激した。刺激後、4時間培養後に細胞を回収した。回収した細胞よりmRNAを採取し、Real time PCR法にてIL-4の産生量を検討した。また、カルシウムイオノファーとPMAで細胞刺激し、24時間培養後、培養上清を回収した。ELISA法にてIL-4蛋白濃度を測定した。 SIRT1活性化剤(resveratrol)にて処理をすると、IL-4のmRNA量がresveratrolの濃度依存的に減少した。また蛋白レベルでもresveratrolの濃度依存的にIL-4蛋白量が減少した。逆にSIRT1阻害剤(splitomysin)で処理をした細胞では、IL-4のmRNA、蛋白量がsplitomysinの濃度依存的に増加した。 SIRT1のsiRNAを使用しSIRT1の遺伝子をknock downした。SIRT1の遺伝子をknock downした細胞では、scramble(関係のない遺伝子)を導入した細胞とくらべ有意にIL-4のmRNA量が増加した。
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