研究課題/領域番号 |
21592178
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
春名 眞一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60198934)
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研究分担者 |
深美 悟 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00311944)
月館 利治 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40287256)
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キーワード | 嗅粘膜 / 好酸球 / 分泌異常 / リモデリング / 副鼻腔炎 / 嗅覚障害 |
研究概要 |
1. 嗅覚障害を呈する副鼻腔炎での内視鏡手術施行前後の経過から、副鼻腔呼吸粘膜に好酸球浸潤の高い物ほど嗅覚障害を訴える割合が高く、かつ術後嗅覚障害の改善例では、副鼻腔粘膜の好酸球浸潤も低下した。 2. 好酸球性副鼻腔炎で嗅覚障害を呈する患者の嗅粘膜を採取し、同時に採取した呼吸粘膜と組織学的に検討した。好酸球浸潤の割合を呼吸粘膜と嗅粘膜で比較すると、高度の好酸球浸潤と呈する呼吸粘膜に比べ、嗅粘膜への浸潤の程度は低かった。そのため、呼吸粘膜でみられた、基底膜肥厚、上皮細胞剥奪、粘膜下浮腫などのリモデリングの所見は、嗅粘膜の所見は軽微であり嗅粘膜の剥奪所見は少なかった。 3. 嗅粘膜分泌状態の評価として、多くの症例で粘膜下の粘液線のボーマン腺の拡大および増生が観察された。さらにレクチン染色にてConA, SNAの発現を認め、粘液の変化が観察された。 4. マウスリモデリングのモデル作製して、鼻腔呼吸粘膜では好酸球浸潤、基底膜肥厚、上皮細胞剥奪、杯細胞の出現を観察し、リモデリングの所見と考えられた。一方、嗅粘膜においても好酸球浸潤および基底膜肥厚は認められたが、呼吸粘膜に比べて、その程度はすくなかった。また杯細胞への置換も軽度であった。分泌腺においては、嗅粘膜上皮でのSNAの発現およびボーマン腺でのConAの発現をみとめた。 5. 以上のことから、嗅覚障害を伴う好酸球性副鼻腔炎では、活性好酸球による直接の嗅粘膜障害よりも嗅粘膜分泌異常に伴う嗅粘膜表面での嗅分子の接着障害の可能性が推測された。
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