研究課題
High Molecular Weight-Melanoma Associated Antigen(HMW-MAA=CSPG4)は悪性黒色腫の約90%において細胞表面上に発現を認めるメラノーマ関連抗原であり、280kDaの糖蛋白と440kDaのコンドロイチン硫酸プロテオグリカンから構成される分子である。その機能として細胞の拡散や細胞接着、細胞浸潤などに関与していると報告されている。正常組織においてCSPG4の発現はほとんど認められないことから、CSPG4をターゲットとした悪性黒色腫に対する免疫療法開発を目的とした研究が行われてきている。CSPG4は悪性黒色腫もちろん、白血病、基底膜細胞癌、神経芽細胞腫、乳癌および前立腺癌での過剰発現が確認されており、進行期や予後などとの関連も報告されている。これまで我々は本研究の予備実験として行った頭頸部扁平上皮癌におけるHMW-MAA発現検討の結果、検討した20種類の頭頸部扁平上皮癌細胞株のうち70%にHMW-MAAの過剰発現を確認したのみならず、患者検体においてもその発現を確認に成功している。本年度は、前年度までに研究開発したHMW-MAA(CSPG4)に対する単鎖抗体:scFv-C21に遺伝子工学的手技を用い、Humanイムノグロブリン普遍領域:Fc付加することにより、CSPG4特異的二量体プローブscFv-FcC21合成することに成功した。続いて本年度はまずIn vivoの実験に用いるべく、scFv-FcC21を大量生産、精製した。CSPG4発現している黒色腫、悪性中皮腫、肉腫、骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いた、SCIDマウスXenograftモデルを用において、scFv-FcC21の腫瘍増殖抑制効果、転移抑制効果を示し、Cancer Research誌に結果をまとめ報告している。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Cancer Res.
巻: 24 ページ: 7410-22