研究課題/領域番号 |
21592192
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平野 滋 京都大学, 医学研究科, 講師 (10303827)
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研究分担者 |
金丸 眞一 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (00271510)
楯谷 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (20526363)
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キーワード | 喉頭 / 声帯 / 再生 / 幹細胞 / 損傷治癒 / FACS / SP細胞 / 表面マーカー |
研究概要 |
喉頭は音声・呼吸・嚥下を司る複合機関であり、軟骨、筋肉、粘膜より構成されている。声帯粘膜が音声の主要部位であり、これが障害されると音声障害や失声をきたす。声帯粘膜の障害は外傷や炎症、加齢、さらには咽頭や喉頭癌の治療後におこり、QOLを著しく損なうものである。これを解決する方法には、他の臓器を用いた喉頭再建が試みられてきているが、効果はきわめて限定されているのが現状である。本研究は、声帯粘膜の再生を目指して立案した。 本研究においては、SP細胞を手がかりに、声帯粘膜の組織幹細胞を同定し、さらにこれを声帯再生に応用することを目的とした。 そのための方法として1)SP細胞の分離・同定、2)SP細胞(もしくは組織幹細胞)の声帯組織修復過程における役割の解明、3)SP細胞による声帯の再生効果の検討実験を計画した。 その結果、幹細胞同定にSP細胞を利用しようとしたが、SP細胞の同定は可能なものの分離、培養は技術的な困難に直面し、細胞マーカーによる特徴抽出にはいたらなかった。そこで、損傷治癒過程でのSP細胞の発現をラットの声帯損傷モデルを用いて検討した。その結果、損傷後1週間以内の早期にSP細胞の発現上昇を認めた。現在これらの表面マーカーを用いた特徴抽出を行っているところである。SP細胞を用いた再生実験は分離培養が困難なため、骨髄由来間葉系幹細胞を用いた声帯再生実験に変更した。イヌを用いた実験で、瘢痕声帯に幹細胞移植を行うこどで、組織学的、機能的に良好な再生効果を確認することができた。 本研究の成果は声帯の再生医療をおしすすめるうえで重要な結果と考えられ、これをもとにさらなる再生医療の推進に繋がるものと考えられた。
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