EGFR頭頸部癌において高頻度に活性化され、Stat3の恒常的活性化にも大きな影響を及ぼす。EGFRの細胞内内在化を促すCblinteracting protein of 85 kDa(CIN85)のEGFRシグナルに対する影響を解析した。CIN85はEGFRシグナルを抑制することにより腫瘍抑制的な作用をもつことが予想されたが、臨床標本では40%の症例で過剰発現しておりその発現は腫瘍の臨床病期と正の相関を示した。In vitroの解析では、CIN85はTGF-alphaの刺激下ではStat3の活性は抑制するがMAPKの活性を充進させることが明らかになった。頭頸部癌におけるEGFRシグナルによる発癌・progressionのメカニズムは一様ではなく、少なくともEGFR-Stat3、EGFR-CIN85-MAPKの二つの系があることが示唆された。
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