CD44はヒアルロン酸を主なリガンドとする接着分子である。癌細胞における高発現が確認されており、その増殖能、浸潤・転移能において中心的な役割を担うと考えられている。頭頸部扁平上皮癌における高発現も多く報告されている。申請者はこれまでにこのCD44機能制御機構として細胞膜外領域、細胞膜貫通領域における連続的切断機構があることを報告してきた。本研究では、今まで我々が行ってきた癌細胞におけるCD44の機能解析について、標準型CD44のみならず、頭頸部扁平上皮癌において高発現しているバリアントアイソフォームにまで範囲を広げ解析することを目的としている。また、CD44細胞外領域に対するモノクローナル抗体の癌細胞増殖能、浸潤・転移能に及ぼす影響を検討することにより臨床応用への可能性についても考察する。平成21年度は外科的切除によって採取した頭頸部扁平上皮癌組織を凍結保存し、サンプルのSDS化などを行い実験の準備中の段階である。ウエスタンブロット解析などに必要な抗体量に制限があり、実験回数を減らす必要があるため、これらサンプル量が一定量準備できた段階で蛋白発現解析やmRNA解析を行う予定としている。
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