研究課題
テロメライシンの感受性と細胞増殖速度、関連遺伝子、細胞周期特性、感染効率との相関を検索し、またテロメライシン抵抗性の細胞につき化学療法剤とテロメライシンの併用効果につき検討した。頭頸部扁平上皮がん細胞株17種を用いてまずMTT assayによるテロメライシン感受性を調べ、細胞増殖速度doubling timeとの相関を調べた。フローサイトメトリーを用いて細胞周期特性をテロメライシン投与前後で測定した。テロメライシン感染後2h、24h、48,72h後の感染効率をアデノウィルス遺伝子のEIA発現で測定し、感受性との比較を行った。また、感受性が低く、感染効率も低い細胞株に対し、パクリタキセル、シスプラチン、ストレプトライシンOを前処理し、感染効率に与える変化、及び感受性の変化をMTT assayで検索した。その結果、テロメライシン感受性と細胞増殖速度の間には相関関係を認めた(r=0.84)。テロメライシン感受性の高い細胞ではより細胞周期S期の割合が高く、相関を認めた(r=0.943)。また、テロメライシン感染後はすべての細胞でS期の割合が増加していた。テロメライシン感染効率はテロメライシン感受性と相関がみられた(r=0.86)。感染効率が著明に低い細胞を用いて、低濃度のパクリタキセル、シスプラチンさらにストレプトライシンOで前処理した結果、ストレプトライシンOで一時的に膜透過性を亢進したものでは著明に感染効率が増加した(p=0.02)。同様にMTT assayを行ったところ、パクリタキセル、シスプラチン、ストレプトライシンOで前処理することによって、著明に細胞障害性が亢進し、パクリタキセル、シスプラチン処理単独の結果に比較しても著明に高腫瘍性が増強した。
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