研究課題/領域番号 |
21592206
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉武 洋 順天堂大学, 医学研究科, 助教 (00396574)
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研究分担者 |
荒木 慶彦 順天堂大学, 医学研究科, 准教授 (70250933)
横井 秀格 頂天堂大学, 医学研究科, 准教授 (80317487)
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キーワード | TEX101 / 癌・精巣抗原 / 頭頸部癌 / Ly6K |
研究概要 |
生殖細胞マーカータンパク質TEX101は、雌雄生殖細胞の発生段階で発現パターンが変化すること、生殖細胞以外の正常組織には発現が認められないことなどから、配偶子形成過程に重要な役割を果たしていることが推測されている。またTEX101は遺伝子レベルでは癌細胞の一部にも発現していることが報告されており、本分子は新規の癌・精巣抗原と考えられている。本研究は頭頸部癌での本分子の発現の有無と診断・治療における有用性を検討することを目的としている。本年度は頭頸部癌細胞におけるTEX101のタンパク質としての発現の有無を確認するために、我々が樹立した抗ヒトTEX101抗体を用いて頭頸部癌の免疫組織化学的解析を行った。その結果、調査した10症例中6症例で陽性反応を示した。以前我々はTEX101がマウス精巣内でLy6kという分子と共役していることを明らかにしている。この分子は頭頸部扁平上皮癌に発現していることが既に報告されており、ヒトLy6K抗体を用いて同じ頭頸部癌組織を免疫染色したところ、TEX101陽性の6症例中5症例でLy6Kの発現も観察された。以上の結果より、TEX101は頭頸部癌の一部の症例においてタンパク質レベルでも発現していることが明らかとなった。さらにTEX101陽性症例では同時にLy6Kが高率に発現することが強く示唆された。今後検討症例数を増やして、TEX101の発現の有無と各種臨床症状(腫瘍サイズ、頸部リンパ節・遠隔転移の有無、予後、化学療法の有効性等)との関連を統計学的に解析し、診断あるいは予後予測マーカーとしての有用性を検討する予定である。また頭頸部癌以外の癌症例でのTEX101の発現を調べる予定である。
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