研究期間内に網膜細胞の保護や新生血管抑制を行うための網膜保護因子を分泌する新規デバイスの作成を目指す。デバイスは標的因子を発現する細胞が浸潤・培養できる独自に調整したコラーゲンを超臨界CO_2溶接法とPLGAやPEGを用いてカプセル化するが、デバイスの容易な着脱や標的因子発現を点眼でコントロールするという安全性を重視したものを目指す。また、このデバイスが保存できる可能性も検討する。当面はまず薬剤がデバイスから計画的に徐放されるかを検討する。 まずデバイスから標的因子を徐放させるために我々は独自の徐放システムを作成した。これはコラーゲン微粒子を標的因子の徐放に利用したもので、他の徐放膜に見られるような薬剤の初期バーストが無い。またこのシステムは分子量のサイズにかかわらず独自の目的にあわせて徐放できるシステムにできた。具体的にはまずコラーゲン微粒子の作製に成功した。さまざまなサイズを作製できるが、基本形として10nmのものを作製し、この微粒子は標的因子を含浸できることを確認した。このコラーゲン微粒子は標的因子を薬剤活性をもったまま徐放することができることを報告した。さらにこの徐放性を有するコラーゲン微粒子と物質透過性をほとんど示さない非分解性のPEGとの相反する2つの素材をうまく組み合わせることによって、物質透過性を精密に制御した徐放膜を作製することに成功した。また、PEGをチャンバー型に微細加工し、内部に薬物を含浸したコラーゲン微粒子を入れて徐放膜で蓋をすると、薬物が段階的に徐放されて長期間徐放されることがわかった(特許:特願2009-189462)。
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