一昨年度および昨年度の研究の結果、15~20歳前後の若年者において緑内障は検出されなかったが、若年者においては眼球そのものが発達していく途上にあることから、各種の眼球のパラメータや屈折及び身体にかかわる因子(身長・体重)も変化し加齢に伴う影響も十分に考えられた。当初はより低年齢層(小学生~中学生)を対象としたデータ収集を試みる予定であったが、データ収集の際に用いる検査機器において、機器の精度は向上しているが、被検者の低年齢化に伴いデータ取得にかかる時間内の姿勢や固視の持続が困難であることが日常診療で予想され現時点ではより若年層の検診は困難であると判断し、これまでに取得した各検査機器のデータ(視力、屈折・角膜曲率、非接触眼圧測定、眼軸長測定、無散瞳眼底写真撮影、視神経乳頭立体撮影、視神経乳頭形状解析装置による撮影、自動視野計による視野測定)を綿密に解析し、若年層における緑内障罹患率をはじめとする検討だけでなく緑内障にかかわると考えられる視神経乳頭所見上のパラメータでより関連のある因子の抽出の検討をした。検査機器の中心となった視神経乳頭形状解析装置であるハイデルベルグレチナトモグラフIIは視神経乳頭をいろんな2次元的および3次元的なパラメータで解析可能であるが、視神経乳頭の傾斜の程度に個人差がありそのことがパラメータ数値に影響することが明確になった。視神経乳頭の傾斜を実測し傾斜の程度がどのように他の検査機器のデータに影響を及ぼすかを解析し視神経乳頭傾斜の影響を少なくする解析方法およびその結果に関して論文を作成し、平成24年3月末時点で査読中である。
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