研究課題/領域番号 |
21592223
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
大坪 正史 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助教 (10327653)
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研究分担者 |
大石 健太郎 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助教 (80345826)
細野 克博 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60402260)
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キーワード | 緑内障 / 相互作用タンパク / 遺伝子 / シグナル伝達 / 神経科学 / プロテオーム / 生体分子 |
研究概要 |
緑内障原因遺伝子オプチニュリン(OPTN)は視神経変性への関与が想定される重要な遺伝子である。本研究では、これまでに見出したOPTN相互作用タンパクについて、関わる発症機序を探ると共に、in utero遺伝子導入法による機能破壊で、緑内障臨床症状との関連を検証する。 本年度は、生体眼組織での発現解析用の抗体、および、in utero機能阻害で用いるsiRNAについて、培養細胞の系で評価を行った。また、OPTN機能に関して、タンパク品質管理に関する知見を得た。核内における作用・結合タンパクについても検討を加えた。以下に概要を示す。 1. SLC4A2遺伝子、タンパク品質管理の検討:これまでに、培養細胞へのOPTNとの共遺伝子導入で空胞様異常構造(Vacuole)が形成されること、既知の緑内障原因遺伝子候補領域に座位し、同領域を決定した緑内障家系において疾患発症の有無と相関するアミノ酸置換変異が存在することを見出している。今回の検討では、(1)OPTNと共遺伝子導入した場合、E50K変異OPTNは野生型OPTNに比して、Vacuole形成を有意に増加させること、(2)E50K変異体のSLC4A2との結合の低下、アポトーシスの指標であるPARP断片化の増加、ERストレスセンサーであるPERKリン酸化の亢進が起こること、(3)変異SLC4A2は野生型と異なり、OPTNとの共導入に伴い、部分分解を受けることを見出した。以上の結果より、OPTNがタンパク品質管理系で機能し、E50K変異は同系の破綻によりERストレスを引き起こす可能性が示された。緑内障発症の機序に新たな知見を加えると考える。SLC4A2と緑内障の関連は更に検討を進めている。品質管理系での機能は、最近報告された筋萎縮側索硬化症(ALS)におけるOPTNを含む凝集体の観察とも関連が推測される興味深い結果である。 2. 核内タンパクNRL:OPTNとの結合に関して、結合依存的な検出手法であるPLA法を用いて可視化することに成功した。OPTNの核移行と核における結合が証明された。 次年度は、器官培養および生体を用いた、in utero遺伝子導入による検討を重点的に実施する。
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