1.GFPとの融合タンパク質の解析 CNGA3サブユニットによるcGMP依存性の膜電流は、今までco-transfectionしたGFPベクターによって蛍光を発する細胞について調べてきた。しかし野生型CNGA3においても光ってはいるが膜電流を記録できない細胞が数十%あり、効率の悪さが問題であった。そこで、野生型CNGA3のcDNAをGFPベクターにクローニングし、CNGA3-GFP融合タンパク質が機能するかどうか調べた。その結果、光っている細胞は100%膜電流を記録できることが判明した。cGMPに対するK_<1/2>はGFPがないものと同等であり、チャネルの機能はC端に存在するGFPの影響を受けないと考えられた。光っている細胞は必ずCNGA3を発現しているわけであり、発現はあるが機能していない変異型CNGA3の解析が容易になった。 2.タンデムに繋いだCNGAの解析 錐体CNGチャネルは2個ずつのCNGA3サブユニットとCNGB3サブユニットから成るが、CNGA3サブユニットだけでもチャネルはできあがる。前項1.の結果を受け、野生型CNGA3-野生型CNGA3-GFPの融合タンパク質がチャネル機能を発揮できるか調べたところ、cGMPによって活性化される膜電流が記録できた。杆体一色型色覚の保因者においては、野生型CNGA3と変異型CNGA3の両サブユニットを含むチャネルが発現しているものと考えられるが、タンデムに繋いだCNGA3の片方を変異型とした場合のチャネルの性質を解析する系ができた。 3.ループへのタグの挿入 CNGA3サブユニットの細胞膜発現の検討のため、野生型CNGA3のループ1/2、ループ3/4、ループ5/6(=ポア領域)などの細胞外領域にFLAGタグ、mycタグ、Hisタグを導入したが、タンパク質発現はみられる(GFPタグを付けているので蛍光でわかる)もののチャネル機能は検出されなかった。そこで、CNGA3のN端に別のタンパク質の細胞外領域+膜貫通ドメインを導入し、7回膜貫通型チャネルとして調べたところ電流が記録できた。細胞外領域に対する抗体を用いて膜発現を検討する系ができた。
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