研究概要 |
本年度においては昨年度において作成したヒトロドプシン変異体トランスジェニック魚、Q344X,P23H、K296E,T4R,N15S,S344Xについて詳細な表現型解析を行った。これによれば、これらの魚は誕生後早いものでは5日目ごろより視細胞の減少を認め、これはTUNEL解析よりアポトーシスによるものであった。これより、これらのトランスジェニック体はヒト網膜色素変性のモデルとして使用できると考えられる。また、ヒト表現型と同じくQ344X,S344XなどClass Iに属する変異では表現型が深刻で、欧米に多いClass IIに属する。P23Hでは表現型が軽いことが確認できた。また、S344X,Q344XをもちいてTcris薬剤セットをもちいてスクリーニングを行っている。また、これらの魚においては臨床的にも効果が議論されているビタミンA,Eなどの薬剤は視細胞死の阻止に影響を与えなかった。 計画書に記載している新たなレポーターについてはロッド細胞に強制発現させたが、残念ながら、容易に検出できる系では検出限界以下でハイスループットスクリーニングには使用できないと判断した。 また、これらの強制発現型の開発により、視細胞において容易に外来遺伝子を発現させることが可能となり、この系をもちいて、異所性フォトトランスダクションと視細胞死の関連について検討を行った。特に本来外節に発現のないアデニルシクラーゼを視細胞において外節に強制発現させることによりアデニルシクラーゼの異所性発現が視細胞死を促進することを証明し、学術雑誌に掲載された。
|