研究課題
本研究は、難治性眼疾患である加齢黄斑変性に対し、実際の病態に類似した低照度長期間光照射による動物モデルを確立し、薬剤による治療の可能性、新規薬剤開発について検討する。また、発症の決定に自然免疫が関与している可能性に関し検討をおこなった。光ストレス動物モデルの作成・解析を行なったところ、光照射でマイクログリアが誘導され、慢性炎症を惹起することがわかった。照射条件としては、連続照射は低照度でも1ヶ月で組織損傷が見られ、3ヶ月で高度となった。1~3日の交互照射では、大差はなかったが、2日毎のパターンが最も酸化ストレス誘導から慢性炎症を惹起していた。青色光を低照度で長期間照射することにより、ヒト加齢黄斑変性に近い動物モデル作成に成功した。CCL-2(MCP-1)とそのレセプターCCR-2のノックアウトマウスでは脈絡膜新生血管の発生が抑えられたことより、発症機序に慢性炎症が関与していることを確認した。また、治療法開発として、Ccr-2阻害薬(INCB3344)硝子体内に投与による、網膜下脈絡膜新生血管抑制効果を証明した。Ccr-2,MCP-1の発現を阻害するオリゴヌクレオチドを作成し、培養網膜色素上皮に導入を試みたが、現在のところ、うまく導入ができていないので、細胞種や薬剤デザインの変更などの調整をおこなった。脈絡膜新生血管発生における自然免疫の関与を検討し、細菌の主要菌体成分であるLPSを低用量全身投与することで、脈絡膜新生血管が抑制されること、その作用メカニズムに腹腔マクロファージにおけるIL-10の発現上昇が重要な役割を担っていることを見出した。
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