研究課題/領域番号 |
21592234
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴間 潔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80335265)
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研究分担者 |
北岡 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80234235)
藤川 亜月茶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60363503)
築城 英子 長崎大学, 病院, 助教 (30363493)
松本 牧子 長崎大学, 病院, 助教 (70437903)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / VEGF / エリスロポエチン / コハク酸 |
研究概要 |
糖尿病網膜症は成人の失明原因として主要な割合を占めており、その病態解明・治療法の確立が非常に重要な問題となっている。糖尿病網膜では毛細血管の障害・脱落により網膜無灌流領域が形成されることにより血管内皮増殖因子(VEGF)やエリスロポエチンといった様々な増殖因子が産生・放出され、血管透過性亢進による網膜浮腫(視力低下)や血管新生(緑内障、硝子体出血)により失明に至ると考えられている。糖尿病黄斑症に関係する血管安定化因子を検索するため手術の時に採取した網膜症の硝子体中のサイトカイン濃度などを検討したところ驚くべきことに増殖糖尿病網膜症において硝子体中のコハク酸濃度が有意に上昇していることを発見した。また抗VEGF治療を行った患者ではコハク酸濃度が有意に低下していることもわかった。コハク酸がVEGFを誘導することはすでに報告されていることからVEGFによるコハク酸へのポジティブフィードバック機構の存在が示唆された。このことは世界で初めての発見であり、次の日本眼科学会、日本糖尿病学会、米国でのassociation for research of vision and ophthalmology(ARVO)学会に演題は採用され発表予定である。コハク酸は網膜血管の発生段階において必要不可欠な因子であることが報告されており正常な血管の再構築に役立つ因子である可能性がある。コハク酸濃度と血管内皮増殖因子(VEGF)やエリスロポエチンの濃度は有意な相関を示さなかったことからもコハク酸は眼内で独立した血管作用因子であることが推察される。コハク酸を利用した糖尿病黄斑症の治療法開発につなげたいと考えている。
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