昨年度に同定したTACSTD2遺伝子と結合するタンパクであるClaudin 1および7について、ユビキチン・プロテアソーム系路のタンパク分解が起こるかどうかを検討した。まず、HeLa細胞にレンチウイルスにてClaudin 1、 4および7遺伝子を各々導入し、安定発現細胞とした。これをプロテアソーム阻害剤であるMG-132にて処理してClaudin 1および7に対する抗体で免疫沈降して抗ユビキチン抗体にてウエスタンブロットした。結果として、Claudin 1はMG-132処理によってユビキチンが結合したバンドが出現したが、Claudin 4については認められなかった。意外な事にClaudin 7についてはユビキチンが結合したバンドの出現が見られなかったが、これは用いたClaudin 7に対する抗体がユビキチン付加されると予測されるリジン残基を含む領域に対して作成されているために、ユビキチン化されたClaudin 7を認識できなかったためではないかと考えられた。またTACSTD2タンパクとClaudin 1および7の結合部位の同定を目的としてGST Pull-downアッセイを行ったが、全長TACSTD2および膜貫通領域までのTACSTD2タンパクを大腸菌発現系にて十分量得ることができなかった。そのため結合領域の同定には至っていない。これについては培養細胞にて行うことを検討している。TACSTD2タンパクに結合する因子の網羅的解析については、免疫沈降を行う抗体によりシグナルが隠れてしまうことが判明した。これについては抗体をProtein Aビーズにクロスリンカーにて共有結合させ、免疫沈降を行った後に二次元電気泳動、PMF解析を行うことを考えている。
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