研究概要 |
ミスセンス変異によって生じるGDLDの妥当性の検討 ワイルドタイプおよびミスセンス変異をもつTACSTD2遺伝子を発現するレンチウイルスを作製した。またTACSTD2遺伝子の3'UTRをターゲットにしたshRNAレンチウイルスも作製した。shRNAウイルスをHCE-T細胞に感染させたところ、コントロールと比較して確かに上皮バリア機能は低下したが、野生型のTACSTD2遺伝子を供感染させても上皮バリア機能は回復せずさらにHCE-T細胞に野生型のTACSTD2遺伝子を感染させただけでも上皮バリア機能が低下した。このためこのシステムではミスセンス変異によって生じるGDLDの妥当性の検討は困難であると判断した。H23年度に患者由来の角膜上皮細胞の不死化を行ったので、その細胞に遺伝子導入する方法に切り替えることを考えている。 プロテアソーム阻害剤によるGDLD治療の可能性の検討 市販されているプロテアソーム阻害剤(MG-132,ラクタシスチン)の細胞毒性を培養角膜上皮細胞を用いて検討した。これらのプロテアソーム阻害剤は薬効濃度内で強い細胞毒性を示した。細胞毒性の出ないぎりぎりの領域でこれらの薬剤が患者由来の不死化角膜上皮細胞の上皮バリア機能を回復させるかどうかを検討したが上皮バリア機能は回復しなかった。またクローディン7および1がユビキチン化されるかどうかを免疫沈降実験で検討したところユビキチン化は認められなかった。このことからクローディン1および7はMG-132の処理で発現が増加するものの、それら自身が直接ユビキチン化されているわけではないことが明らかとなった。 このほか、TACSTD2タンパクのどの領域にクローディン7が結合するのかを欠失変異体を用いた免疫沈降実験で検討し、TACSTD2タンパクの細胞外領域のすべてが結合に必須であることを発見した。
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