研究概要 |
受動喫煙モデル(ラット)を作成し、喫煙が涙液機能、眼表面および涙腺に与える影響・障害のメカニズムを解明することを目的とした。今年度はタバコ煙暴露実験システム・環境・系統作成に成功した。ラットは一定量/濃度のタバコ煙が保たれるチャンバにてタバコ煙に暴露させた。14mgのタールを含むタバコブランド(Seven Stars ; Japan Tobacco Inc., Tokyo, Japan)を使用し、装置にて250mlのタバコ煙をチャンバに注入した。チャンバ内の煙濃度はDigital Aerosol Monitor Model 3411(Kanomax, Osaka, Japan)にて測定した。タバコ煙暴露前後において採血し、ラットを始末した。1μlの1%フルオレセイン染色液を使用し、眼表面上皮障害スコアを判定した。涙液量検査は点眼麻酔なしでフェノルレッド試験にて施行した。動物モデルより得られる涙腺標本にHE染色、酸化ストレスマーカーであるHEL,4HNE,8OhDGの免疫染色を行なった。タバコ煙暴露後の涙液量が有意に減少し、角膜上皮障害スコアが増悪した。HE染色にて涙腺腺房構造の乱れ、炎症細胞浸潤を認めた。スモーカーラットの涙腺にnon-smokerラットと比較し高度な酸化ストレス染色(4HNE,8OhDG,HEL)が認められた。受動喫煙は涙腺構造および眼表面上皮障害を来し、その発症に酸化ストレスが関与していると思われる。
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