研究課題/領域番号 |
21592247
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
富田 剛司 東邦大学, 医学部, 教授 (30172191)
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研究分担者 |
北 善幸 東邦大学, 医学部, 講師 (30349873)
八木 文彦 東邦大学, 医学部, 講師 (40307765)
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キーワード | 緑内障 / 網膜神経節細胞 / 光干渉断層計 / 視野 |
研究概要 |
Latex microsheres前房内注入法によるラット眼圧上昇モテルの作成を試みたが、うまく上昇しないことが判明したため、新しい試みとしてシリコンオイルをラット前房内に充填することによる眼圧上昇モデルの作成を試みた。しかしながら、充填後3日までは眼圧は上昇するがその後下降した。これは、シリコンオイルが前房から流出してしまうことが原因と判明したため、次年度はシリコンオイルを人為的に乳化させ懸濁状とした上で眼圧上昇の試みを続けることとした。 一方、緑内障は篩状板部における網膜神経節細胞の軸索の障害が引き金になるが、その障害は網膜神経節細胞の減少として現れる。網膜神経節細胞は、網膜黄斑部では密な層になっているが、その層厚を直接測定することは、緑内障の早期発見に有用であることが幾つかの報告で示唆されている。そのため、黄斑部における網膜神経節細胞厚が真に緑内障早期発見の新しいパラメーターとなり得るのかを、近年開発されたスペクトラルドメイン光干渉断層計を用いて自動計測した。上下どちらかの半視野にのみ自動視野結果で欠損がみられる緑内障眼を対象に網膜神経節細胞層を含む黄斑部網膜内層厚を自動測定した。その結果、視野に異常がみられない半視野側の網膜内層厚は、正常眼対照眼の黄斑部網膜内層厚と比較して有意に減少していることが判明した。網膜全層厚を比較しただけではこのような有意差は検出されなかった。このことは、通常の視野検査にて異常が検出されるより以前に網膜神経節厚が含まれる黄斑部網膜内層が特異的に障害されることを意味しており、緑内障における早期の構造異常を検出できる新しいパラメーターとして有望であることを示した。
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