研究概要 |
ベバシズマブ硝子体内投与における、血清、前房水中のベバシズマブの薬物動態および前房水中の血管内皮増殖因子(VEGF)に与える影響を解析した。 ベバシズマブ(1.25mg/50μl)をカニクイザル3匹の片眼の硝子体内に投与し、投与直前および投与後1,3,7日、2,4,6,8週に解析を行った。両眼の前房水および血清中のベバシズマブ濃度、VEGF濃度をELISA法にて測定した。 投与眼における前房水中VEGF濃度は投与前、平均80.0±22.6pg/mlであり、いずれの個体においても投与翌日から4週目までは検出感度(31.2pg/ml)以下となり、6週目で投与前のレベルにもどった。非投与眼においては実験期間を通して前房水中VEGF濃度に有意な変化は見られなかった。一方、ベバシズマブ濃度は投与眼では投与翌日にピーク(平均49,500+10,900ng/ml)に達し、次第に減少していった。非投与眼においても3日目をピークにごくわずかの移行を認めた(平均18.5±25.5ng/ml)が、2週間後には検出感度以下となった。血清中のベバシズマブのピーク(平均1,430±186ng/ml)は投与1週間後であった。 ベバシズマブの硝子体内投与は投与眼において少なくとも4週間はVEGF濃度を減少させると考えられる。また僚眼への影響は非常に少ないと推察される。
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