前年度に完成させたSwept source-OCTを用いて、得られた角膜の3次元立体再構築データから、角膜前面、後面の高さ情報、屈折力分布のマップ表示および角膜厚分布表示ができる世界初のプログラムを用いて、円錐角膜を対象としてOCTとシャインプルーク式角膜トポグラファーを比較したところ、角膜前面、後面の高さ情報、屈折力分布のマップ表示および角膜厚分布のパターンは両者で似通っていることが示された。さらに進行した円錐角膜では、角膜断面の認識の点でOCTの精度が高く、OCTによる角膜形状解析の優位性が示された。 全層角膜移植、深層層状角膜移植、角膜内皮移植および正常の前後面の角膜高次収差を比較したところ、角膜内皮移植では、全層角膜移植と深層層状角膜移植より有意に角膜前面の高次収差が低かった。一方角膜後面の高次収差においては3者に有意差はなかった。このことから、移植後の視機能向上には角膜前面の高次収差を低減する改良が必要であることが示唆された。 また、spectral domain-OCTを用いて、同様に3種類の角膜移植後および正常の後方散乱強度を測定したところ、正常では、角膜上皮面にピークを持つが、全層角膜移植では、実質浅層に、深層層状角膜移植では、3つのピーク、角膜内皮移植では2つのピークをもつ症例が多数で、散乱強度の最高値と視力には相関を認めた。このことは、角膜移植後では透明治癒しても散乱強度は術式によって異なるパターンを示し、その散乱を軽減する工夫が、移植後の視機能向上のために重要であることが示唆された。
|