研究概要 |
NF-κB (nuclear factor-κB)はInhibitor-κB (IκB)により抑制的に制御されている。炎症反応においてはIκB kinase (IKK)がIκBをリン酸化することでNF-κBの抑制が解除され、種々の炎症性反応が誘導される。そのためこれまで多くのIKK阻害剤が開発され、炎症性疾患モデルでの炎症抑制効果が報告されてきた。ところが我々はマウスアレルギー性結膜炎モデルで古典的経路に属するIKKβ阻害によって逆に即時型過敏反応が悪化することを見いだした。昨年にひきつづく検討により、この作用は副経路に属するIKKαがB細胞系において刺激され引き起こされることをマウスモデルにて確認した。 一方、角膜内皮の炎症反応をシステムバイオロジー手法においてモデル化した。この際、代表的な内皮炎症刺激病原体としてのヘルペスウイルス感染刺激に反応してNF-κB応答性プロモーターが主たるシグナル経路として活性化された。感染を認識するパターン認識レセプターの関与を検討すると、とくにToll like receptor 9の関与が重要であり、これによりNF-κB関連を含め各種プロモーター活性が強く刺激された。一方、ウイルス自体も、この反応自体を自身の増殖に流用することを見いだした。 さらに、前眼部炎症に対して、各種網膜疾患がいかに関与するかの検討を試みた。たとえば、動脈硬化に関連して発症すると推定される網膜分子静脈閉塞において、前房水におけるIL-8レベルが強く刺激されることを見いだした。この際、IL-8,MCP-1,VEGFといった因子の刺激を介して眼内における器官再生シグナルを発していると推定された
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