研究課題
再生に向けたヒト人工多能性幹(iPS)細胞を用いた網膜変性疾患の病態解析をするためには、iPS細胞からの網膜細胞への分化誘導系を、申請者の研究室で立ち上げる必要があった。これに対し、申請者は平成21年度にまず、既存のiPS細胞(山中研究室より供与された253G1細胞および201B7細胞)を用い、既報を元に網膜細胞を分化誘導することに成功した。浮遊培養と接着培養を組み合わせた方法である。分化誘導された細胞で、Pax6などの特徴的転写因子、ロドプシンなどの特異的マーカーを発現していることを確認した。さらに、患者皮膚細胞を採取し、皮膚細胞に山中4因子をレトロウイルスで導入することで、患者細胞由来iPS細胞を樹立した。iPS細胞では、遺伝子導入部位などにより、その性質に株間のばらつきがある可能性があった。そこで50ラインの患者由来iPS細胞を樹立した。そして、その一部を用いて、トランスジーン(4因子)の検定等、iPS細胞の性質を解析した。その方法は共同研究者の岡野栄之教授より伝授された。その結果、樹立した細胞株の少なくとも一部では、iPS細胞への適切な誘導がなされていることが明らかになった。患者遺伝子を有した皮膚由来のiPS細胞の樹立は、遺伝子異常疾患の病態解明のために重要な部分であり、この樹立に成功したことは意義深い。今後はこの細胞を用いて、患者由来iPS細胞から網膜細胞を誘導する研究に移行する予定である。
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