研究課題
再生に向けたヒト人工多能性幹(iPS)細胞を用いた網膜変性疾患の病態解析をするために、申請者の研究室でもiPS細胞からの網膜細胞への分化誘導系を立ち上げた。浮遊培養と接着培養を組み合わせた方法である。山中研究室より供与された201B7細胞に加え、患者皮膚細胞を採取し、皮膚細胞に山中4因子をレトロウイルスで導入することで樹立した患者の遺伝子異常を持ったiPS細胞でも、誘導を開始した。患者由来iPS細胞では、遺伝子導入部位などにより、その性質に株間のばらつきがある可能性があった。そこで樹立した患者由来細胞株50ラインのうちで、トランスジーン(4因子)の検定等の解析から、iPS細胞の性質を持つと判断された細胞株において、申請者の研究室で網膜細胞を誘導し、その性質を解析中である。分化誘導された細胞で、Pax6などの特徴的転写因子、ロドプシンなどの特異的マーカーを発現していることを確認している。また、網膜への分化誘導が可能で、研究に有用と判断された細胞株において、さらにiPS細胞の性質を確定するために、マウスへの移植を行い、テラトーマの作成による3胚葉への分化の可能性があることを実証した。本研究で、患者遺伝子異常を持つiPS細胞由来の網膜細胞を培養可能になることは、その遺伝子異常による病態の解析に必須であり、重要なステップである。本細胞を用いた病態解明を、引き続き進める予定である。
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