研究課題
再生に向けたヒト人工多能性幹細胞(induced-Pluiripotent Stem cell;iPS細胞)を用いた網膜変性疾患の病態解析をするために、申請者の研究室でも立ち上げた、iPS細胞からの網膜細胞への分化誘導法(浮遊培養と接着培養を組み合わせた方法)を用いて網膜細胞を分化誘導し解析する実験を行っている。山中研究室より供与された201B7細胞に加え、患者皮膚細胞を採取した皮膚細胞に山中4因子をレトロウイルスで導入することで樹立した患者の遺伝子異常を持ったiPS細胞でも、分化誘導をした。いくつかの液性因子を投与することで網膜細胞に分化誘導した培養において、ロドプシンなどの網膜の各細胞特異的マーカーを発現している細胞の生存を継時的に解析している。分化誘導の効率を上げるための条件検討を行いつつ、それぞれの条件下に繰り返し分化誘導を行い、再現性を取る実験も併せて行っている。生存細胞数に関しては、ガラス上で培養され網膜細胞特異的マーカーを用いて免疫細胞染色された網膜細胞を顕微鏡下に計測する方法を主に用いている。本研究で、患者遺伝子異常を持つiPS細胞由来の網膜細胞を培養可能になることは、その遺伝子異常による病態の解析に必須であり、重要なステップである。遺伝子異常により、誘導された網膜細胞の生存に変化があるかどうか、どのようなメカニズムで細胞死がおこるのか、などについて、引き続き研究を進めることが今後の新規治療法の開発に向けて重要であり、それを遂行する予定である。
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