研究概要 |
[目的]インターフェロン(IFN)はB型及びC型肝炎の治療に使用されているが、アデノウイルス(AdV)結膜炎への効果に関してはあまり研究されていない。わずかにAdV3型に有効という報告がある。そこでIFN-βおよびIFN-γのアデノウイルス結膜炎を発症させる型に対する抗ウイルス作用をin vitroで検討した。 [方法]AdV3,4,8,19aおよび37型株を用い,A549細胞を使用した。19a型以外は標準株である。濃度の異なるIFN-βおよびIFN-γを作用させた後,7時間培養し,ウイルスDNA量をリアルタイムPCR法で測定した。 [結果]IFN-βは濃度依存性の抑制効果を全ての型に示した。IFN-βのEC_<50>は211~843IU/mlであった。IFN-γにも同様の傾向が見られ,EC_<50>は133~9130IU/mlに分布していた。型の中ではIFN-γはAdV37に対して最も効果が強く見られた。一方,AdV4に対するIFN-γの効果は最も小さかった。統計学的に有意な濃度依存性はいくつかの型に対していずれの薬剤も見られた。 [結論]これらの結果からインターフェロンはいずれも抗アデノウイルス治療薬としては可能性があり,その副作用の少ない特徴から予防投与などが実際の使用法として考えられる。
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