平成21年度は、マウス網膜変性モデルにおける移植細胞の機能的に実用的な生着条件について、詳細な検討を行った。 1.発症時期及び進行速度の異なる2種類の遺伝的網膜変性マウス(rd)、及び亜急性実験的網膜変性モデル(MNU薬剤投与)を用いて、タイムコースをふって移植実験を行った。 移植細胞にはまず健常網膜で生着の確認できている生後4-7日令のNrl-GFPマウス及びGFPマウス網膜細胞を用いた。rdマウス及び薬剤傷害マウスにおいて、ホスト網膜の変性過程を、マイクログリアの集積、グリア細胞の活性化、外境界膜の維持等の点から経時的に免疫組織学的に検討し、移植に適した時期について考察した。さらに、異なる変性時期に移植を行い、生着率を比較、移植に適したタイムウィンドウの有無について検討した。 (結果)変性進行極期にはマイクログリアの集積とミュラーグリア細胞の活性化がみられた。薬剤傷害モデルではその後グリオーシス形成がみられたが、rdマウスにおいてはマイクログリア、グリア活性化とも一旦沈静化した後、序所にグリオーシスが進行すると思われた。変性早期、後期、いずれの時期においても移植細胞は生着した。グリオーシスの形成とともに、ChABCの同時添加により変性後期においても良好な生着が期待できる可能性が示唆された。 2.Nrlプロモーター下にGFPを発現するようデザインしたレンチウィルスベクターをES細胞からの分化細胞に導入し、分化細胞の同定を試みた。 (結果) 分化視細胞をウィルス導入によりある程度確認できたものの、効率面からの改善を要すると思われた。
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