我々は本研究において、胆道閉鎖症患児の初診時糞便を採取し、また葛西手術時に胆汁を採取することで、糞便検体、胆嚢内胆汁検体をTeminal-Restriction Fragment Length Polymorphism (T-RFLP法)を用いて、今までに指摘されていない腸内細菌叢を検索して新たな腸内細菌プロファイルを作製し、(1)胆管炎の早期診断、(2)葛西術後の経過例を臨床的減黄例、非減黄例、肝硬変に伴う症状発症例(消化管出血例、腹水例)に群別科し、新規腸内細菌の予後推測へのバイオロジカル・マーカーとしての関連、更に、(3)動物実験を含めた胆道閉鎖症病因に関する新規細菌感染の関与、の3点を検討することを研究目的とする。 研究開始の初年度(平成21年)からおこなっている。 1)胆道閉鎖症患児での胆嚢胆汁、糞便採取の継続と対照群として乳児総胆管拡張症の胆嚢胆汁、糞便採取 2)胆道閉鎖症術後で胆管炎発症児の糞便採取 を本年度も、継続しておこなった。 また、分子生物学的手法による細菌プロファイルの作製(T-RFLP法)に際して糞便・胆嚢胆汁から細菌DNA抽出の準備をおこなった。 研究最終年度の総括に連結するため、本年度症例の選択、群化のため葛西術後症例また対照群としての乳児総胆管拡張症々例の臨床例のデータベース作成を引き続きおこなった。 T-RFLP法で得た細菌プロファイルと胆道閉鎖症予後推測へのバイオロジカル・マーカーとしての関連研究として、研究目的にある新規腸内細菌プロファイルが葛西術後の予後推測へのバイオロジカル・マーカーとして関連してくるが、胆道閉鎖症葛西術後施行症例を減黄例、非減黄例、肝硬変に伴う症状発症例(消化管出血、腹水例)に選別して、また葛西術後の肝移植施行例を選別し、その肝移植適応を調べ臨床データの集計の継続と、肝移植を必要としたか否かの集計を継続した。
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