研究課題/領域番号 |
21592273
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
齋藤 武 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20406044)
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研究分担者 |
吉田 英生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60210712)
菱木 知郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00375776)
照井 慶太 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70375773)
佐藤 嘉治 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60375772)
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キーワード | 胆道閉鎖症 / サイトカイン / サイトカインネットワーク / 自然免疫 / フローサイトメトリー |
研究概要 |
本研究は、胆道閉鎖症(以下BA)における全身と局所のサイトカイン環境を洞察し、サイトカインネットワークの全体像を把握して、BAの病態形成・進展におけるその意義を検討することを目的とする。 平成21年度は、周術期にあるBAの血液検体を用い、血清サイトカイン濃度を網羅的に検索した。血液検体はBA患児の全身のサイトカインバランスを表現すると考えられる。1999年~2008年に当科と関連病院で初回手術をされたBA10例を対象とし、術前より経時的に採取した検体を用い、flowcytometryで血清サイトカイン濃度を測定した。着目したサイトカインはTh1/Th2サイトカイン、Th17、炎症性サイトカイン、ケモカイン、細胞接着分子、IFNなど18種類である。サイトカイン偏向の有無を調べるとともに、各サイトカインにつき初回手術時日齢との相関を検討し、手術前後および予後別に測定値を比較した。 結果、現時点ではサイトカインの偏向は明らかでなく、いずれのサイトカインも初回手術時日齢との有意な相関を認めなかった。術前後値の比較ではE-selectinとICAM-1の細胞接着分子に有意差がみられた。また予後別では予後不良群で、IFNγ、IL-1β、IL-4、IL-12(p70)、TNF-α、Il-13の術前値が有意に高値となっていた。以上より、手術侵襲は細胞接着因子以外のサイトカイン分泌に影響せず、予後不良群では術前からサトカインが過剩に分泌している可能性が示唆された。 今後は他疾患にも検索を広げBAのサイトカインプロファイルの特徴を見い出すとともに、発症初期の局所のサイトカイン環境を示すとされる便検体・肝胆道組織での検討を行う。便検体は、血液検体同様flowcytometry法で測定し、肝胆道組織では着目したサイトカインをreal time PCR法で定量する。
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