研究課題/領域番号 |
21592274
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金森 豊 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20221187)
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研究分担者 |
小高 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80442961)
太田 聡 東京大学, 医学系研究科, 講師 (90324342)
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キーワード | glypican 3 / 癌胎児抗原 / 胚細胞性腫瘍 |
研究概要 |
今年度は、これまでに当科で経験した小児固形腫瘍について昨年度に検索した腫瘍に加えて、新たに経験した腎芽腫2例とこれまでに経験した肝芽腫8例を追加でGPC3の組織発現を免疫組織化学法によって検討した。この結果最終的には検討した腫瘍の内訳は、神経芽腫27例、腎芽腫8例、肝芽腫8例、横紋筋肉腫9例、胚細胞性腫瘍45例、となった。神経芽腫ではGPC3陽性のものは見られなかった。また、横紋筋肉腫では1例で陽性であったがこの症例は検討の結果PNET腫瘍ではないかと結論されて除外した。また肝芽腫はこれまで報告されている結果と同様に全例でGPC3陽性であった。腎腫瘍では、8例全例で、未熟な線管構造や腎芽細胞の一部にGPC3が陽性であったが、その陽性成分は腫瘍によって異なっていた。胚細胞性腫瘍では、卵黄嚢腫瘍4例では全例GPC3が陽性であった。また未熟奇形腫と診断された6例でも、部分的にGPC3が陽性であった。 胚細胞性腫瘍に関しては、卵黄嚢腫瘍で全例GPC3陽性、一部の未熟奇形腫で陽性、との結果で、これまでに報告されている内容と一致した。 しかし、腎芽腫に関しては、組織発現が当科症例8例全例でGPC3陽性であった。腎芽腫ではこれまで良い腫瘍マーカーが見つかっておらず、本結果を考慮すると、GPC3が腎芽腫の良い腫瘍マーカーになる可能性が示唆された。 これらの組織発現を踏まえて腎芽腫、肝芽腫、卵黄嚢腫瘍における血清中のGPC3測定を行ったが、市販されているELISAキットが、検討途中で仕様変更があり、結果に再現性が得られないという問題が発生し、現在ロットの変わらない古いキットを発売業者から取り寄せて検討する予定としている。
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