研究概要 |
直腸肛門奇形は新生児外科疾患の中でも最も頻度の高い疾患の一つであるが,その病態の解明には至っていない.我々は妊娠9日目のマウスにビタミンAの誘導体であるエトレチナートを過剰投与することにより高い再現性をもって直腸肛門奇形マウス胎仔を作成した.そのモデルを用いて,神経伝達分子であるSubstance P, Vasoactive intestinal peptide及びc-kitに注目し,昨年度に引き続き,その抗体を用いて免疫組織学化学的染色を行った.その発生過程において,直腸肛門奇形マウス胎仔ではコントロール群と比べ,明らかにそれらの活性が低下していることがわかり,胎仔治療の重要性が示唆された.これらの成果は,Abnormal development of intrinsic innervation in murine embryos with anorectal malfor mations. Pediatric Surgery International 28(3) : 295-298, 2012に掲載された.また,細胞移動に関わるWnt-5a, Rho kinase及びc-jun N-terminal kinaseに関する研究の成果も現在論文投稿中である.器官培養に関する研究では細胞壊死をきたすケースが多く,予定通り遂行することができず,さらなる培養液及び培養期間の検討が必要で,今後の課題となった.
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