研究課題/領域番号 |
21592277
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
増本 幸二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20343329)
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研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 医学研究院, 教授 (20197247)
中村 晶俊 福岡大学, 医学部, 助教 (10580285)
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キーワード | 短腸症候群 / 小児 / 腸管延長術 / 有用性 / 腸閉鎖 |
研究概要 |
平成21-22年度に作成した腸閉鎖後の短腸症候群(SBS)ラットモデルを用いて、平成23年度では、1生月でSTEP法に準じた腸管延長術を行うモデル作成を行なった。10例のSTEP施行生存例を得、同じ月例の正常コントロール群およびSBS群と、このSTEPを行った群(STEP群)との間で、腸管壁内の神経分布、筋線維分布、ペースメーカー細胞の構造変化を検討した。実際には、免疫組織化学法を用いて、NSE、α-SMA、c-kitをマーカーとして比較検討を行った。 この検討では、STEP法による腸管延長を行って1カ月後の腸管と2生月のコントロールラットの空腸、SBSラットで2ヶ月経過した群との間で比較検討した。STEP群では、コントロール群に比べて、神経節細胞の分布は軽度減少しており、さらに筋層への神経分布の著明な減少、筋層の高度の肥厚、ペースメーカー細胞の減少を認めた。これらの変化はSBSラットでも認められた所見であるが、その変化の程度はSBSラットの壁内変化に比べると軽度であることが確認された。またSTEP群での術後1ヶ月の所見は前年の行ったSTEP術後2週間後の群の所見と比べて、神経分布や筋層の肥厚、ペースメーカー細胞分布の異常が改善傾向にあることも確認できた。そのため、STEP群術後ではコントロール群に比べ腸管壁内構造の変化は残っているが、腸閉鎖後の短腸症候群で認められた所見は、STEP術後に経時的に改善傾向があると考えられた。 これらの所見からは短腸症候群が生じた場合、腸管拡張が極端な拡張とならないうちに、STEP法などの腸管延長術を行うことで、腸管の壁内構造異常の改善が望めることが示された。
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