培養真皮を臨床使用する上で培養過程に用いるウシ血清などの動物由来成分が安全性の点で問題となる。我々は培養過程に動物由来成分を用いない培養法、すなわち2%患者自己血清添加無血清線維芽細胞増殖培地(HFDM-1)を用いた培養方法を平成21年度からの研究で確立した。本法を用い、京都大学医学部附属病院のGMP準拠培養施設で作製した自家培養真皮の有効性と安全性を確認する臨床試験、第I-II相試験「自家培養真皮を用いた糖尿病性潰瘍に対する創床形成療法の安全性と臨床効果の検討」を5例の患者で行なった。結果の取りまとめの結果、5例すべてで創傷改善が得られており、培養真皮に起因すると思われる有害事象も認めなかった。複合型培養皮膚の作製方法の改良も行っており、2%ヒト血清添加無血清線維芽細胞増殖培地(HFDM-1)を用いてもウシ血清添加培地と同様に培養皮膚が作成できることを確認した。
|