研究課題/領域番号 |
21592288
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小阪 淳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40243216)
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研究分担者 |
若林 毅俊 関西医科大学, 医学部, 講師 (90302421)
木股 敬裕 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
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キーワード | 末梢神経移植 / 視神経再生 / 正中神経 / 坐骨神経 / 脳・神経 |
研究概要 |
平成21年度は、視神経切断端に血管付き移植する末梢神経の起源の違いについて重点的に検討した。検討した末梢神経片は、(1) 坐骨神経、(2) 大腿神経、(3) 顔面神経、(4) 正中神経の4種である。坐骨神経と大腿神経は、神経片を栄養動脈、静脈付きで選離し、視神経切断端に吻合すると共に、外頚動静脈と微細吻合術を施行した。顔面神経と、正中神経は、神経片の栄養血管を残した上で、切断し、視神経切断端へ吻合移植した。遠位端は切断し、自由遊離片とした。 坐骨神経、大腿神経を利用した場合は、手術時間が長時間となり、術者の労力が大きいばかりでなく、手術侵襲が大きく結果が安定しないことが判った。一方で、顔面神経、正中神経を用いた場合は、手術時間が約4時間であり、安定した結果が得られた。大腿神経、顔面神経は末梢神経の径が視神経切断端より小さく、視神経全周にわたって包み込む形の吻合術が出来なかった。また、顔面神経利用時には、特に涙腺の機能が侵されることが多く、角膜表面に障害が起こり、結果が安定しない原因となった。 以上の結果より、視神経切断端への栄養血管付き末梢神経移植には、正中神経を利用するめが一番得策であるとの結論に現時点では至っている。その他、これら末梢神経の選択の他に、視神経との吻合術の検討、球後部の視神経へのアプローチ法、正中神経の単離法等の細かい条件検討を行い、ほぼその手法は確立できている。現在、栄養血管なし移植を陰性対照とし、血管付き移植による視神経軸索の再生促進効果を、Fluorogoldの逆行性標識による網膜神経節細胞のカウンティングにより慎重に評価しでいる。
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