研究課題/領域番号 |
21592288
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小阪 淳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40243216)
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研究分担者 |
若林 毅俊 関西医科大学, 医学部, 准教授 (90302421)
木股 敬裕 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
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キーワード | 正中神経 / 顔面神経 / 神経移植 / 視神経 / 網膜神経節細胞 |
研究概要 |
ウイスター・ラットの視神経を切断し、切断端に末梢神経移植を行い、移植片への視神経軸索の再生を誘導する。従来の遊離の血管無し移植では主として坐骨神経を用いていた。栄養血管付き末梢神経移植としては、頭部顔面部に位置し視神経への解剖学的距離が近い顔面神経の利用をまず検討した。移植片として顔面神経を切断し末梢部への支配を遮断すると、顔面筋の運動障害により眼瞼部の動きが制限され、その結果角膜表面が乾燥することが判明した。角膜表面の乾燥は、眼球白濁等眼球内へも波及し、網膜組織にも変性等の障害を与えていたため、利用を断念した。そこで、顔面神経以外の末梢神経片を利用することを検討し、正中神経片を血管付きで使用した。前腕部まで大きく切開するため手術侵襲は大きくなった一方で、角膜表面の障害は緩和され網膜組織にも悪影響を与えないことが判明し、この手法を用いて視神経再生の程度を比較した。視神経切断端に同一個体の同側の正中神経を血管無しの遊離で移植吻合した動物と、血管付きで移植吻合した動物を作成し、1ヵ月後に移植片にgranular blueを標識し、2日後に灌流固定して網膜を単離し進展標本として蛍光顕微鏡下で観察した。その結果、血管無し移植720±95個(n=4匹)、血管付き移植1228±201個(n=2匹)の網膜神経節細胞が蛍光色素で標識されており、血管付き移植の方が、視神経再生をより促進することが判明した。現在標本数を増やして正確な統計処理を行っている。同時に、電子顕微鏡観察用に移植末梢神経片をエポンで包埋し薄切後、トルイジンブルーで染色して光学顕微鏡で観察した。その結果、血管付き移植では、神経周膜の構造が良く保たれている傾向があることが判明した。現在、さらに確認・観察を進めている。同時に、電子顕微鏡下で、髄鞘形成の程度に差があるかどうかを比較検討するため、準備を行っている。
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