これまでに、ラット近位尿細管細胞(IRPTC)を用いて、以下の知見を得ていた。 1.IRPTCにおいて炎症性メディエータの投与によりiNOSの誘導、NOの過剰産生、細胞死、apoptosis signalの活性化を認めた。 2.特異的iNOS阻害剤はこの細胞傷害性を効果的に抑制したが、完全抑制ではなく、NO非依存性の細胞傷害の存在が示された。 同様の敗血症in-vitroモデルにおいて、炎症性メディエータの投与によって引き起こされる細胞死のシグナル経路に関して、IRPTC以外の多様な細胞系(H9c2;心筋筋芽細胞、C2C12;骨格筋細胞、A549;肺胞上皮細胞)で引き続き検討した。 細胞死においてはアポトーシスの関与は強く疑われたが、他の細胞死の形態も検討する余地が示唆された。上記細胞死を抑制する薬剤として、まずIRPTCにおいてdexamethasoneが有効とわかっていたが、他の全ての細胞系においても同様に有効であった。 また、それ以外にアンギオテンシン受容体阻害薬も有効であることがわかり、その作用機序として、酸化ストレスの軽減効果が強く示唆された。以後様々な抗酸化薬の効果を検討したが、一部の抗酸化薬がやはり同様に有効であることが示された。現在、これらの抗酸化薬がどのような作用点で効いているのかを検討中である。
|