研究概要 |
実験計画の通り,閉鎖回路を作成し,一次膜にGambroのHCO-1100[○!R],二次膜には東レのヘモフィールSH[○!R]を用いて回路はTR-530用の特注回路で行った.血液流量は150ml/minとし,一次濾過流量を1L/h・2L/h・6L/hと順次増加させ,廃液流量は1L/hに固定した.その結果,二次濾過流量はそれぞれ,OL/h・1L/h・5L/hとなった.一次濾過流量が1L/hは通常のsuper high flux hemofiltrationに相当し2L/h・6L/hがdouble hemofiltrationといえる.その結果, IL-6およびIL-8の一次膜でのふるい係数はどの施行条件でも80%前後であったし一次膜でのクリアランスは1L/hから2L/hに増加させるとほぼ2倍となったが,6L/hでは6倍とはならず,2.8倍程度になった.さらに二次膜ではこれらはほとんど逆濾過(kick back)されず,最終的な回路全体としてのクリアランスも一時濾過量を増加させるにしたがって同程度に増加した.6L/hでのクリアランスが頭打ちをしたのは,二次膜でのメディエータが含まれない濾過液を再還流した影響であると考えられた.次にHMGB-1の一次膜のふるい係数はどの施行条件でも65-70%となった.二次膜での逆濾過(kick back)はほとんどなく,最終的なクリアランスは1L/hに比較して2L/hで1.5倍,6L/hで2.5倍となった.今回の実験からdouble filtrationを行うことにより,炎症性サイトカインやHMGB-1といった中分子量物質のクリアランスを選択的に増加させられることが証明された.引き続いて,臨床例での検討を行う.
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