研究概要 |
高温環境への暴露は、血管内皮細胞傷害と関係する重要な因子であることが考えられる。これまで低温環境で各種刺激に対するサイトカイン産生抑制効果を報告してきた。本研究では、血管内皮細胞における高温環境でのサイトカイン産生能の変化を明らかにすることを目的とした。 方法:ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(Human umbilical vein endothelial cells ; HUVECs)を各種温度環境(37,38,39,40℃,)で1,3,5時間培養(各n=6)した。別の群で、HUVECsを各種温度環境(37,38,39,40℃)で1時間培養した後、4時間37℃培養し、上清中のinterleukin(IL)-8とIL-8 mRNAをそれぞれenzyme-linked immunoabsorbent assay(ELISA)、TaqMan[〇!R] real-time RT-PCRを用いて測定した。 結果:同条件の温度で培養したHUVECsをtrypan blueを用いて、温度変化による形態学的な細胞のviabilityに差は認められなかった。IL-8産生は、高温環境(39,40℃)での培養で37℃に比べ有意に抑制(p<0.0001)された。しかし、IL-8 mRNAの発現は、高温環境での培養で有意に増加(p<0.0001)した。 考察と結語:高温環境では、血管内皮細胞でのIL-8 mRNAは早期から発現するが、IL-8産生は逆に抑制される。この高温によるサイトカイン抑制効果の機序は明かでは無いが、高温暴露時のサイトカインを介する生体反応は抗炎症性に作用している可能性が示唆された。
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