研究課題
基盤研究(C)
高温環境への暴露は、血管内皮細胞傷害と関係する重要な因子である。特に、熱中症患者に発症する全身性の血管内皮細胞傷害は炎症性微小循環障害を引き起こし、多臓器不全をきたすが、その危険因子は未だ明らかでない。今回の研究で、高温環境では、血管内皮細胞でのIL-8mRNAは早期から発現するが、IL-8産生は逆に抑制されることを明にした。この高温によるサイトカイン抑制効果の機序は明かでは無いが、高温暴露時のサイトカインを介する生体反応は抗炎症性に作用している可能性が示唆される。またIL-8 mRNAの発現は、高温環境での培養で有意に増加することが明らかになり、高温暴露後のIL-8の再上昇は、熱中症患者の重症化の一因になっている可能性がある。これら現象は、IL-6も同様に観察された。このことから、重症熱中症患者では、血管内皮細胞からのIL-6, 8産生などの炎症反応を増大させ、二次性組織傷害を悪化させ、多臓器不全進展の危険因子となり得ると考えられた。
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