研究概要 |
心肺停止患者の社会復帰率向上を目指し、直接的脳代謝モニタリングに基づく蘇生後脳症の病態解明、虚血再潅流後の脳組織に低体温療法の及ぼす影響および予後規定因子の究明、さらには予後規定因子測定を含む脳代謝モニタリングに基づいた脳低体温療法の構築することを目的とする。 平成21-24年度にラット全脳虚血再灌流障害に対する予後規定因子の検討について、ラットに全身麻酔下で顕微鏡を用いて椎骨動脈を凝固、切離し、ドリルで頭蓋骨に穴を開け、マイクロダイアリシスプローベ(CMA, 膜長3mm、Dialysis membrane ,molecular cut off 20kDa) を前頭葉に挿入・留置する。プローベ内には注入ポンプを介して透析液(Ringer液)を0.3μL/minの速度で灌流させる。マイクロダイアリシスの測定準備を整えた後、両側総頚動脈に遮断クリップを用いて全脳虚血とする。異なる虚血時間(15, 30, 45分)に対する脳虚血再灌流障害の評価を行う。 出血させないように手技を行うことが、データ蓄積上重要であり、昨年度および今年度は、この手技の安定化を行った。当初の半分程度の時間でモデルができるようになった。今後もデータの蓄積、解析を行う予定である。 CPA蘇生後脳症に対する予後規定因子の解明は、低体温療法の適応の場合、早期にマイクロダイアリシスのプローベを脳実質内に留置する。脳室ドレナージ、ICPセンサーの留置などと同様の手技で行われる。マイクロダイアリシスのプローベをポンプに接続しリンゲル液を0.3μl/minで還流する。30分毎に透析液の回収を行う。一昨年度は4例の症例が合併症なく集まった。平成24年度までに2例の臨床症例を集積した。ここまでの経過を学会で発表した。また、動物実験モデルでは、8例のデータを集積した。今後も蓄積された症例および実験動物での症例蓄積とデータ解析を行う。
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