哺乳類の代表的な血清カルシウム濃度調節ホルモンは、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、そして活性型ビタミンD3である。これら3つのホルモンの系統発生学的出現を考えた場合、活性型ビタミンD3は硬骨魚類から出現している。これら3つの血清カルシウム濃度調節ホルモンは、哺乳類の生体内において破骨細胞の吸収活性と密接な関係をもつことが知られていることから、硬骨魚類では、系統発生学的に古い破骨細胞像が見られる可能性が考えられる。本研究は硬骨魚類の破骨細胞を形成する培養系を確立し、破骨細胞の分化制御機構の起化を解明しようとするものである。 申請した研究計画調書に従い、研究開始初年度である平成21年度は硬骨魚類の破骨細胞の培養下での形成方法の確立を目指した。平成21年度の研究課題を以下の2つである。 1.硬骨魚類における破骨細胞前駆細胞が存在する臓器・組織の確定 2.破骨細胞を形成する培養系の確立 これら研究課題に対する研究実績は次の通りである。 (1)サケの肝臓、脾臓、腸管、椎骨等から細胞を採取し培養したが、破骨細胞のマーカー酵素であるTRAP陽性細胞は肝臓と脾臓から採取した細胞からしか観察されなかった。 (2)これらTRAP陽性細胞の出現は培養期間と添加因子により大きく変化した。
|