研究概要 |
1)胆道結紮により作成した高γ-GTP血症モデルラット(BDL)では,著明な破骨細胞増加を伴う骨量の減少が認められたため,恒常的に高γ-GTP血症(200IU/L程度)を示すトランスジェニックマウス(GTP-Tg)を用い,大腿骨遠位骨端部の組織計測学的解析を行い,WTマウスと比較検討した.GTP-Tgでは,著明に骨量数が減少し,骨梁辺縁には多数の破骨細胞が観察された. 2)BDLラットでみられる骨量の減少に及ぼす抗GGT抗体(AGT3)の影響を検討した.AGT3はBDL処置2日前から0.05mg/100g/dayの濃度で投与を開始し,実験期間を通じで投与し続けた.BDL群で観察された骨量減少はAGT3投与により著しく改善された(54%増加).μCTでは,BDL群でみられた著明な骨量や皮質骨の減少が,AGT3群では改善されていた.特に,皮質骨の破壊抑制効果は顕著であった.組織計測学的に骨梁面積,破骨細胞数を比較検討したところ,骨量面積:開腹のみ(SO);47.68±5.02,BDL24.50±6.86,AGT361.36±2.74,破骨細胞数:SO:22.9±4.82,BDL;79.0±8.7,AGT3;49.1±11.3で,AGT3群で有意な改善が認められた.また,AGT3投与は骨芽細胞数も増やす傾向を示したため,骨芽細胞の増殖,分化に及ぼすγ-GTPの影響も検中である.引き続きAGT3群の匹数を増やし,解析を進める予定である. 3)ラット上顎第一臼歯口蓋側の歯根膜側歯槽骨縁に沿って出現する破骨細胞数を比較検討したところ.SO;3.3±1.0,BDL;9.6±1.7,AGT3;5.1±1.1で,BDL群で増加した破骨細胞数が,AGT3群では有意に減少していた. 胆汁うっ滞性肝疾患患者では,破骨細胞性骨吸収誘導を介した骨密度や骨量減少が生じるが,この破骨細胞誘導には血清γ-GTPの上昇が関わっており,γ-GTPの破骨細胞活性部位の中和抗体AGT3が胆汁うっ滞性肝疾患患者の2次的骨量減少を抑制する可能性が示唆された.
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