研究課題/領域番号 |
21592332
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
李 銀姫 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90457424)
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研究分担者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70150464)
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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キーワード | ガレクチン3 / 炎症性骨破壊 / 組み替え蛋白質 |
研究概要 |
ガレクチン3は1個の糖鎖結合ドメイン(CRD)とN末端側領域から構成されるキメラタイプのガレクチンで、細胞増殖・分化やアポトーシス、を制御するという広範な活性を有することが知られており、マクロファージによる貧食や炎症にも関与する。多くの場合、CRDがβガラクトシドを持つ糖鎖に結合することによってその生理活性を生じる。ガレクチン3は炎症条件下、ガレクチン3の発現が増強されることが知られているが、その役割は不明であった。申請者等は、アジュバント関節炎ラットにおいて、骨破壊部位に浸潤しているマクロファージと顆粒球がガレクチン3を高発現することを見出した。ガレクチン3の破骨細胞分化に対する効果をin vitro及びin vivoの両システムを用いて検討したところ、ガレクチン3が破骨細胞分化及び骨吸収機能を顕著に抑制することを見出した。更に、この抑制効果がCRDによるものでは無いということを強く示唆するデータを得た。本研究ではガレクチンN末端側領域のリコンビナント蛋白質(N-gal)を作成し、破骨細胞分化制御に深く関わる受容体を検索・同定することを第1の目的としているが、この点は国内外に例を見ない極めて先駆的で独創的な研究であり、ガレクチン3のN末端側領域は新規骨破壊制御薬の候補となりうると考えられる。本年度の研究では昨年の研究に続き、ガレクチン3組み換え蛋白質が破骨細胞分化及び骨吸収機能に対する影響を調べた。まだ、GFPを結合したN-galをプローブとし受容体の挙動を共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析した。そのほか、本年度の研究では同じガレクチンファミリーであるガレクチン-9が破骨細胞の形成を顕著に抑制するということを示す所見を得ており、ガレクチン-3研究の成果とともに、骨代謝制御におけるガレクチンファミリーの新しい作用が存在する可能性が示唆された。
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