研究課題
ガレクチンはβガラクトシドを持つ糖鎖に結合するレクチンである。ガレクチン3はキメラタイプのレクチンであり、糖鎖結合領域とN末端領域から構成される。研究代表者等は炎症性骨破壊の場で発現が上昇するガレクチンが骨破壊を負に制御することを明らかにした。また、ガレクチン3による破骨細胞形成と機能の阻害にはガレクチンの本来のリガンド結合部位である糖鎖結合領域ではなく、N末端側の糖鎖結合部位を持たない部位が重要であることを強く示唆する所見を得ている。本硯究ではガレクチン3のN末端側領域のリコンビナント蛋白質を作成し、破骨細胞分化に関わる受容体を検索することを目的とした。TAクローニング及びinvitrogen社のT7発現システムを利用してガレクチン3のN末端部分の組換蛋白質を作製し、その破骨細胞分化に対する効果を調べたが、想定していたような阻害活性は認められなかった。別の範囲をカバーする分子のクローニングを行っている。ところで、マクロファージ系の細胞に対してガレクチン9はガレクチン3と類似の作用を有している。ガレクチン9は糖鎖結合ドメインを2つ有するタンデム型のガレクチンであり、キメラ型のガレクチン3のようなN末端が露出していない。ガレクチン9について破骨細胞分化制御活性を検討した。その結果、ガレクチン9は用量依存的にマウス破骨細胞の分化を抑制した。興味深いことに、この抑制効果はラクトースの添加により有意に解除された。ガレクチン9がその糖鎖結合部位を介して結合するいくつかの膜表面分子が報告されており、それらの分子のなかで破骨細胞が発現する分子を見出すことができた。破骨細胞分化制御の新たなる標的分子となる可能性が出てきた。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Arthritis and Rheumatism
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