研究概要 |
1. 発がんモデル動物による病変の作成:口腔癌好発ラット系統(DAラット)に4NQOを経口投与し、投与後180日までに舌癌および前癌病変を作成する事が出来た。また、病変部舌粘膜上皮を採取した。 2. 舌粘膜のwhole mount immunohistochemistry(WMIHC)による病変の同定に必要な機材として蛍光実体顕微鏡を本年度購入、整備した。 3. 形態学的検索とmRNAおよびDNA抽出:病変部組織からDNA,RNAを抽出し、RT-PCRにより定量的RNA発現量解析を行った。また、組織標本を作製し、免疫組織化学により細胞増殖マーカーの発現を確認した。 4. 4NQO誘発DAラット舌癌から癌細胞を分離し、細胞培養系を確立した。 今後、エピジェネティック変異の検索、遺伝子変異の検索(LOH解析)、PCRダイレクトシーケンスによる変異解析等と共に、組織型と遺伝子変異との相関の検討を行う準備が整ったといえる。 なお、蛍光顕微鏡による細胞内マーカーの検出、および新規に導入されたレーザー共焦点顕微鏡を用いた培養細胞による解析を、当初の計画に加える予定である。 また、ヒトにおける病変へ応用するため、日常の診断標本から、問題となる前癌病変症例を抽出し、サイトケラチンと増殖マーカーの発現パタンから、高悪性度異型上皮と低悪性度異型上皮を鑑別する診断根拠となる所見について、第4回アジア口腔顎顔面学会(北京)において発表した。
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