研究課題/領域番号 |
21592343
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90287178)
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研究分担者 |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
加藤 哲男 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00159253)
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キーワード | Aggregatibacter actinomycetemcomitans / アミロイド線維 / 歯周病 / バイオフィルム |
研究概要 |
歯周病原性Aggregatibacter actinomycetemcomitansは歯周病の原因菌と考えられるが、心内膜炎や髄膜炎の患者からも分離される。本菌の新鮮分離株は長い線毛を有し、血液平板培地上でrough型の強固な付着性のコロニーを形成し発育する。細菌産生アミロイド線維は、大腸菌やサルモネラ菌で報告されており、共凝集、バイオフィルム形成などに深く関与している。歯周病原性細菌がアミロイド様物質を産生するか否かについては不明であり、本年度は昨年に引き続き歯周病原性A. actinomycetemcomitansのアミロイド様成分の精製を行った。Rough型コロニー形成株AKRをyeast extract添加Trypticase soy brothで2日間、5%CO_2下で培養後、管壁に付着した菌体を2-aminomethanol bufferで剥離し、集菌した。菌体を超音波破砕後、各種酵素処理を行った可溶性成分をイオン交換およびゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。アミロイド様成分の有無は蛍光色素thioflavin T(ThT)を用いて、蛍光強度を分光蛍光光度計より測定することで判定した(励起波長:450nm、蛍光波長:486nm)。部分精製したアミロイド様成分はThT蛍光測定により、486nmをピークとする蛍光として検出できた。アミロイド様成分は、加熱およびプロテアーゼ処理後、ThTの蛍光強度に影響はみられなかった。また蛍光強度は、pH3-4の酸性のbuffer中で安定していたが、アルカリのbufferでは消失した。さらに37℃に100日保存し、乾燥状態になった成分を酸性のbufferに溶解しても蛍光が検出できた。これらのことは、本菌のアミロイド様物質が、加熱やプロテアーゼ処理さらに酸性buffer溶液中での安定性などの点で大腸菌などのアミロイド線維と類似していることを示している。しかしながらTEMではアミロイド状線維の典型的な構造は観察できなかった。以上のことから.A. actinomycetemcomitans rough型集落形成株菌体には、アミロイド様物質が存在し、本菌の付着やバイオフィルム形成などの歯周病原性に関与していると考えられた。
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