研究課題
ヒト体細胞を用いた再生医療の研究においても、必要な十分量の細胞数を得るのは困難であり、再現性を確認するのも一般に困難である。本研究は種々の組織由来の多分化能を有するヒト由来間葉系幹細胞(骨髄、臍帯血、月経血、末梢血など)について細胞寿命延長の機構の詳細を明らかにし、さらに臨床応用へ向けて細胞にダメージを伴わない遺伝子導入法による細胞延命増殖の方法を確立し、細胞をできるだけ正常なまま寿命延長する方法を開発することを目的として研究を遂行してきた。細胞の寿命を腫瘍化させずに延長させる実験系を中心に用いて本研究を行った。さらに目的とする組織への最終分化させる手段の開発にも着手している。今回はヒト由来間葉系幹細胞の安全性の担保を染色体解析とテロメア解析からアプローチした。 この比較にiPS細胞を利用し、ヒト由来間葉系幹細胞と比較検討した。ヒトiPS細胞は臨床応用にはあと少しといった段階であるが、将来は臨床応用されることが期待されている。iPS細胞は間葉系幹細胞同様、患者自身の細胞を使って作られるので、拒絶反応の心配がなく、倫理的問題もない。さらにiPS細胞は必要な量の細胞数を確保でき、広範な欠損に対する再建の患者に対する治療にも対応できると考えられる。しかしながらiPS細胞は樹立されたクローンによっては染色体異常が存在し、テロメアが短縮していることを我々は報告した (Terai M et al. 45 (2013) 407-413, Tissue & Cell, Terai M is a corresponding author)。テロメアに短縮が認められないiPS細胞のクローンには染色体異常は認められなかった。今後、本研究の中心であるヒトiPS細胞、間葉系幹細胞は臨床応用に向けて、一細胞レベルで染色体異常の問題などを詳細に解析する必要があると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tissue & Cell
巻: 45(6) ページ: 407-413
doi: 10.1016/j.tice.2013.07.003.
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