研究課題/領域番号 |
21592361
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20240872)
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研究分担者 |
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
小橋 基 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
藤田 雅子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40156881)
市川 博之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20193435)
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キーワード | 摂食関連ペプチド / オレキシン / 電気生理学 / 免疫組織化学 / 上唾液核 |
研究概要 |
H23年度はオレキシンに焦点を絞り、それによる興奮性作用はどの受容体を介しているのか詳細に免疫組織化学的および電気生理学的に分析した。また上唾液核ニューロンの抑制性シナプス伝達におけるオレキシンの影響を電気生理学的に検索した。 1.オレキシンの興奮性作用について オレキシンにはサブタイプがオレキシンAおよびBが存在する。またその受容体はOX1およびOX2受容体が存在する。オレキシンAはOX1とOX2受容体両方を刺激するが、オレキシンBはOX2受容体のみを刺激する。電流固定実験で100nMオレキシンAおよびBを投与した時、多くの上唾液核ニューロンでオレキシンAによる脱分極時間はオレキシンBよりも長く発火を伴った。一方オレキシンBはほとんど発火することは無かった。一方、電圧固定実験で膜電位を-70mVで固定しテトロドトキシン存在下で300nMオレキシンAおよびBを投与した。この時内向き電流発生(興奮作用)の割合は、それぞれ75%(18/24)と40%(4/10)で、このことから上唾液核ニューロンにはOX1とOX2受容体がともに存在することが示唆された。オレキシンA誘発性の内向き電流はOX1受容体アンタゴニストにより大きく減少したことから、上唾液核ニューロンには主にOX1受容体が存在することが示唆された。免疫組織化学的実験でOX1とOX2受容体の発現割合を検索した結果、上唾液核ニューロンに発現するOX1およびOX2受容体はそれぞれ53%と40%で比較的同じくらい発現していることが明らかになった。よってオレキシン作働性神経が興奮すると上唾液核ニューロンは、主にオレキシンAによりOX1およびOX2受容体を介して興奮作用を示すことが示唆された。 2-オレキシンの抑制性シナプス伝達に対する影響について 上唾液核ニューロンはGABAおよびグリシンによる抑制性シナプス伝達を受けている。抑制性シナプス伝達を観察しやすくする為に0mVで固定しテトロドトキシン存在下でオレキシンAおよびBを投与した。十分な例数ではないが(n=6)全ての上唾液核ニューロンにおいて外向き電流および微小抑制性シナプス後電流の頻度や大きさに変化は無かった。よってオレキシンは抑制性シナプス伝達にはほとんど影響しないことが示唆された。
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